対談:伊藤ゴロー × 山下洋 

 

ザ・スタイル・カウンシルの大ファンであるWack Wack Rhythm Bandのギタリスト山下洋さんとnaomi & goroのギタリストの伊藤ゴローさん。おふたりの音楽ルーツから『CAFÉ BLEU』への想い、そして今回のアルバムについてお話を伺いました。

       

 

G:伊藤ゴロー

Y:山下洋 

A:青野賢一(インタビュアー)

 

 

――『CAFÉ BLEU』が出た当時は、ゴロ―さんは19歳、山下くんが16歳ですよね。その頃、ふたりはどんな音楽を聴いていましたか?

 

G サザン・ソウルですね。オーティス・レディング とか。ちょうどそういう音楽に目覚めた頃で、仲間とサザン・ソウルのバンドを組んでいました。ドロッとした音楽にハマっていましたね。

 

Y 僕もバンドをやっていて、チェッカーズとビート ルズのカバーとか。ビートルズは小学生のときに『 アニメ・ザ・ビートルズ』ってアニメを見てからハマって。ビートルズはイギリス音楽の入り口でしたね。ジャムの存在は知っていたけれど、ピストルズやクラッシュのほうが好きで。当時、ジャムはあまり聴いていなかったですね。スタイル・カウンシルは高校生からすると“大人の音楽”でしたね。大人の音楽とロックとかパンクを両方できる人なんだと思って、その両極端を好きになりました。

 

G 僕はジャムの時代から聴いていたから、『CAFÉ BLEU』を聴いたときはとにかく衝撃でしたね。ポール・ウェラーはこんなおしゃれなコードを弾いたり、曲作りをするのかと。ソウルの道を突き進んでいたから、「俺、この感じのままやっていていいのか?」って、ひとり焦りを感じていました(笑)。

 

Y なるほど。メジャーセブンスのコードはビートルズでもあったのかもしれないけれど、「これがメジャーセブンスのコードだぞ!」と自分の中に刻まれたのはスタイル・カウンシルの曲ですね。『CAFÉ BLEU』は難しくない曲はコピーしていましたけど、難しい曲もたくさんあって限界がありましたね。完全に暗記するほど聴いていますけど(笑)。

 

 

――『CAFÉ BLEU』は曲のバラエティがすごいし、レコードで説明するとA面とB面で印象がものすごい違いますよね。

 

Y B面は黒人SIDE。P-FUNKとボサノヴァの音が両 方入っているのがいい意味でクレイジー。やっぱり、いま聴いてもそういうところがいい所だと思います。自分もそういった両極端な人間だし。

 

G そうだね。当時、ひとりのアーティストがいろんな音楽をミクスチャーしたものってほぼなかった気がしますもんね。いま、思い起こすとすごく特殊なアルバムだと思います。ずっと聴き続けてきたわけではないけれど、ときどき聴くと新鮮な発見があったりして、自分のなかでわりと聴いていたアルバムなんです。今回カバーしたいきさつは長くなるから省くけど(笑)、『CAFÉ BLEU』は自分のルーツではないけど、聴くと“初心に戻る”感じがあるんだよね。カバーしたのは、それも理由なのかも。どうせやるなら、本当に丸ごと一枚やるのが腰が据わっていて面白いんじゃないかと思って。  

 

       

 

CAFÉ BLUE SOLID BOND 全曲解説 伊藤ゴロー × 山下洋 × 青野賢一 

 

① 「Mick’s Blessings」

Y こうれはもう衝撃でしたね。カバー感がないのがいいですよね。

G 「なにしてくれるんだ!」って言われそうだけど(笑)。この曲、結構人気だよね。YouTube見たらさ、世界のいろんな人たちが演奏していて、ちょっとピアノ弾ける人は弾きたくなっちゃうキャッチ―な曲みたいで。いや、ちょっとマズいことしたかなって思ったり(笑)

 

② 「The Whole Point Of No Return」 

Y この曲はよく練習しましたよ。まだ弾けるんじゃないかな、これは。原曲は6弦を(左手の)親指で押さえるんですよ。あれが難しいんですよね。

G やっぱ、ポール・ウェラーは手クセっていうか、自分のスタイルで弾いているから再現できないですよね。未だに、納得のいく感じには弾けないですね。
Y  この曲、ちょっとアレンジしてますね。Bメロというかサビを。原曲は繰り返しですけど。

G ちょっとアレンジしました。キーもオリジナルと違う感じにして。コードの響きも変わるし、多少違う要素があったほうがいいと思って。やっぱりギターの曲って、同じキーじゃないとその原曲の雰囲気が出ないし、ハーモニーも変わるよね。
A 今回のボーカル曲はキーを変えていないのが多いですよね。

G なるべくオリジナルのキーでやりたいと思って。ナオミちゃんもオリジナルの雰囲気があるほうがいいかなって言っていたし。変えたのもあるけれど、なるべくはオリジナルキーでやっているね。 

 

③ 「Me Ship Came In!」 

Y これはセルジオ・メンデスっぽい感じですね(笑)すごい、さらっとハマってますよね、いい感じに。

G うん。これは原曲の雰囲気を残しつつ、違うアプローチでいい感じにできたかな。

A これ、わりと「せーの!」で録っているんですか?

G これね、ホーンは後で別に録っているのだけど。ほかは全部1回で録っていますね。
A そういう感じの音ですよね。それがいい。コーラスは誰がやっているんですか?
G 演奏に参加している人とかですね。ドラムのみどりんとか。ベースの秋田くんとか(ともにSOIL & "PIMP" SESSIONS)。あと、スタッフもみんなで(笑)

A 雰囲気ばっちりですね。 

 

④ 「Blue Café」 

G 前半結構、我慢のインストが続くね(笑)まだ、1曲しか歌っていない。

A naomi & goroなのに(笑)この曲は弦がいいですよね。

G 弦だけでもいいかなと思ったんだけれど……これ、ギターはポール・ウェラーだったかな。
Y ポール・ウェラーはこれを弾くぐらいが限界なんでしょうね(笑)

G でも、びっくりするよね。こんなの弾けるんだって思って。

A これは当時、よく練習していたんですか?ゴローさんは。

G いや、これは弾けなかった。

Y 当時は難しかったですね。

G 僕もコードを追っかけるのにやっとな感じでしたね。 

 

⑤ 「The Paris Match」 

G これはテイクもひとつくらいしか録っていなかったかな。わりと楽に録れたね、サラッと。原曲のほうはハネている感じですよね。
A  naomi & goroのはハネずに後ろ(3拍目)に来る感じですよね。山下くんはこの曲はコピーとかしましたか?

Y これは最初から難しいと思ったので、やってないですね(笑)   

 

⑥ 「My Ever Changing Moods」 

Y ちゃんと2バージョン入っていますね。バンドバージョンと。

G これは、もうホントストレートに。原曲に忠実に。

Y 絶対やりたくなりますよね。

A ピアノがいいですよね。

G ピアノはコトリンゴちゃん。彼女はピアノでいろんなことやりながらよく歌えるなって思う。ピアノ界のジミヘンだよね。


⑦ 「Dropping Bombs On The Whitehouse」 

Y 見事ですね。リズムも。

G 六拍子と七拍子。

A これめちゃめちゃカッコいい!DJ的にかけたくなる曲ですね。

Y 踊る人がビートをつかむまで時間かかっちゃう。

G アルバムのなかでいちばん贅沢な感じの曲だよね。弦とか。

A みどりんのドラムがいいな。

G カッコいいですよね。 

 

⑧ 「A Gospel」 

G ナオミちゃんがほんとにラップするなんて思わなかったね(笑)ラップの曲もあるんで、って言ったら「はい、わかりました」って言われたけど。
Y カッコいいですよ。アンニュイな感じで。

G 原曲はもっと早くて、テンション上がりまくっていて、さすがにそのスピードでできないってのはあって。ゆったりにしたら、すごい尺に(笑)。

 

⑨ 「Strength Of Your Nature」

G やっぱ、SIDE Bはすごい困りました。もう、途中何度か投げ出しそうになりながら(笑)実際、原曲、変な曲だもんね。
Y 繰り返しのみ。

G だから、困り果てた。

A 確かにB面はnaomi & goroでやるにはすごい考えちゃいますね。

G うん。これを、まあボサノヴァにしたところで……って感じの曲で。持って行き場がすごく難しい曲でしたね。

Y これ、すごい好きですけどね。ドラムのパターンがかっこいい。サンプリングしたくなるような。

A  naomi & goroでこういうエレキの曲が聴けるとは新鮮。 


⑩ 「You’re The Best Thing」
G これはほぼ打ち込み。スタカンはこういう打ち込みというかシンセ多いよね。

Y 「Long Hot Summer」とか。これ、原曲キーですか?

G 原曲キーだね。

Y ナオミさんにとっては結構低い感じに出ていますよね。

G いい感じに出ているよね。幅が大きくて転調して。

Y F#。

A 先にコード聞けば良かったみたいな。

G 山下くんにいろいろと相談に乗ってもらってたらよかったかな(笑)


⑪ 「Here’s One That Got Away」
Y アルバムの中で一番楽しい曲ですね。

G 原曲はモロにシャッフルで、ちょっとお祭りっぽい。スタカンはこの曲もだけどこういったシャッフルが多いよね。


⑫ 「Headstart For Happiness」

Y これだけ、リズムが原曲に素直でしたね。

G ほぼ忠実に。

A 確かにスタカンのシャッフルお祭りっぽいかもしれない。

G 演奏できるのが嬉しかったし、楽しかったですね。 

 

⑬ 「Council Meetin’」
Y これ、面白かった。すごいいいですね。

G 最初はもっとオリジナルな感じで、もともとソウルみたいな感じにしようかと。ブッカーT & MG'sみたいなスティーヴ・クロッパーばりのギターを弾いて。でも、反対されて、なんとなく遊んでみた感じで(笑)。ミック ・タルボットの曲は1曲目もそうだけど、原型をとどめていない。結果的にそうなってしまったね。
A ちょっとフランスっぽい響きになってますね。 

 

⑭ 「My Ever Changing Moods (Band Ver.)」

G ここからはボーナス・トラック。

A naomiさんのコメントで元々8ビートが苦手なので、っていうのはおもしろいですよね(笑)

G ナオミちゃんは歌うきっかけがボサノヴァでそれ以外はほぼ通っていないからね。この曲はみどりんに「I Saw The Light」(トッド・ラングレン)みたいな演奏をって言いました(笑)オリジナルバージョンはかなりはっちゃけているよね。
Y がっちゃがちゃですもんね。

A 密度がすごいですよね。
G この曲はPVがいいですよね。自転車に乗っているの。僕、自転車屋の息子だったから(笑)。


⑮ 「English Rose (from "All Mod Cons" /The Jam)」
G これはリクエストが軽くあったのでやってみました。エブリシング・バット・ザ・ガールっぽいよね、確かに。ギターはちょっと意識したね。これは唯一のラブソング。
A ほかの曲は神経質な歌詞のが多いですもんね(笑)

Y ラブソングはあと、「You’re The Best Thing」もありますね。

A しかし20代半ばでこれ作ろうとするのってすごいなぁ。

 

 

Photo by Kentaro Minami

 

 いま聴いているのはスタイル・カウンシルのファースト・アルバムの全曲カヴァー・アルバムだ。


 このアルバムに興味を抱いたのは、ロック、あるいはポップのアーティストの「アルバム全曲」カヴァー集、というものが、よくありそうで意外と少ないからだった。


 最初に頭に浮かんだのはブッカー・T&ザ・MG'sの『Mclemore Avenue』、という、あの『アビー・ロード』のジャケットを模倣したアルバムだったが、他に何か類似した作品を、と考えてみても、きょうのところはどうにも思い浮かばないのだった。


 最近、友人から教わったのは、ザ・ゾンビーズの『オデッセイ&オラクル』、という名作を全曲カヴァーしたアルバムだったが、こちらも複数のアーティストによるものだった。


 これがミュージカルや映画のサウンドトラックの全曲カヴァー集、というのなら、けっして少なくはない。『ポーギーとベス』なら数多くの音楽家が取り上げているし、『ウエストサイド物語』や『メリー・ポピンズ』なども多くのジャズ・ミュージシャンやイージー・リスニングのバンドに取り上げられている。


 きっと『ペット・サウンズ』や『エレクトリック・レディランド』や『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』と言った作品には、誰か単独のアーティストによる全曲カヴァー集があるのかもしれないが、いま、この原稿を書いている自分は聴いたことがない。きっと素晴らしいだろうと思うが、同時に音楽家としてはかなり難しいお題になるだろう、とも想像する。その点、この『カフェ・ブリュ』のカヴァー集は、見事にリラックスしていて、鮮やかな印象を受けたことを書いておく。


 そういえば、かつてロンドンを訪れた時、有名なミスター・ボンゴ、というレコード・ショップでサクソフォン奏者エディ・ハリスが映画『ティファニーで朝食を』のサウンドトラックの全曲をカヴァーしたアルバムというのを見つけて、買おうかどうか、しばらく思案していたことがあった。すると、仕事でご一緒していた音楽コーディネイターのトシ矢嶋さんが、そのアルバム、あんまり面白くないよ、と教えてくれたのだった。そうか、やはり面白くないだろうな、と思いながらも、自分はけっきょくそのレコードを買った。いまでも時々引っ張り出して聴きながら、その時のトシ矢嶋さんのことを思い出すのだから、これは決して悪くないアルバムだったということになるのだが。


 ところで、いまここに掲載されている文章は初め、ほぼ倍の長さを書いて送ったのだが、やはりレイアウトしてみると収まりきらなかったということで、思い切って前半を削ったものだ。もともと原稿を頼まれた時点で決まっていた字数をこちらが大幅に上回ったのだから、もちろん仕方がないのだけれども、この先、スタイル・カウンシル、そしてこの『カフェ・ブリュ』の全曲カヴァー・アルバムを聴く度に、自分は原稿の失われた前半部分のことを思い出すだろう。もともと陰影に富む、複雑な味わいのアルバムに、さらに微量の苦味が加わるような。「ビター・フォー・マイ・テイスト」という、スパイダースの曲のタイトルが頭に浮かんだところで、ピリオドを打つ。

 ホットでストレートで緊密なロック・バンドから、一曲ごとにその佇まいを変化させるクールなポップ・ユニットへ……史上もっとも男前なステイトメントを残して自身のバンドを解散させたポール・ウェラーが、スタイル・カウンシルを始めるにあたって用意した文脈は、思えばずいぶんと複雑なものだった。シングル・リリースの一発目のタイトルにハービー・ハンコックのアルバムを引用し、見事な着こなしの白いコートでフランスの街角に佇みながら、核軍縮運動支援のショウをデビューのステージに選び、甘いノーザンソウル・サウンドに載せて痛烈な政権批判をおこなって、「カプチーノ・キッド」にきわめて文学的なライナーを書かせる。ファッションと労働運動、ストレートな主張とソフィスティケイティッドなサウンド、ストリートと文学。パンクスとモッズという(少なくとも、外見的には)相反するトライブを統合したジャム時代から、ウェラーの想像力はこのようなギャップによって活気づけられてきたように思う。
 

 「英国人による英国産のソウル・レーベル」を作るというファンタジーは、アメリカ黒人音楽の資産を使って自分たちの状況や問題(「イギリス病」とも揶揄された、最悪の不況からサッチャー政権が登場した時代だ)から一旦距離を取り、その後、その距離自体を内面に折り込んで音楽化する、という、ポール・ウェラーのアクロバティックな作業によって見事に形を取った。このようなエキゾチシズムの利用法は、90年代初頭の日本の音楽シーンにも大きな影響を与えることになるだろう。鈴木博文は、1984年4月号、まさに『CAFÉ BLEU』が日本に届けられたばかりのミュージック・マガジン誌において、<その「クロっぽさ」は、黒っぽさでもなくアフリカっぽさでもなく、ホール&オーツに代表される青い瞳のソウルでもない。しいて持ち出すとすれば、アル・クーパーの数々のソロ・アルバムで聞かれる心にくいほどにシャレたクロっぽさだ。(中略)僕の頭は最近、彼等のクロっぽさでいっぱいなのだ。>という評を残してる。彼が所属するムーンライダーズはこの直後、まさに「シャレたクロっぽさ」に充ちた『Amateur Academy』をリリースすることになる訳だが、この時点からおよそ三〇年を隔てて、いま、naomi & goroによってあらたにリメイクされた『CAFÉ BLEU SOLID BOND』を聴いて感じるのは、なによりもその楽曲の良さ、何度でもそこから滋養を汲み取ることの出来る、まったく古びることのない古典としてのアルバム『CAFÉ BLEU』の存在感である。


 「英国産の、フィクションとしてのアメリカ黒人音楽アルバムを、日本のボサノヴァ・デュオ・ユニットが全曲カヴァーする」という(マイルス・デイビスとギル・エヴァンスが、ジョージ・ガーシュインの『ポーギーとベス』をリメイクしたことにも似た)文化的に考えれば相当に捻れた試みが、ここでは実にさりげなく、元からそのようなかたちであったかのように実現している。アレンジと演奏の完成度の高さは言わずもがなだが、この安定感は、『CAFÉ BLEU』に対して、ギタリスト/プロデューサーの伊藤ゴロー氏が持っている敬意と距離が、ポール・ウェラーが黒人ポップスに対して持っていたそれと相似型であるからに違いない。iTunesに並べて両作を聴き比べながら、ヘッドフォンのなかで溶けてゆくイギリスとアメリカと日本とブラジル、20世紀から21世紀までの三〇年間。

坂本龍一/音楽家 
『CAF
É BLEU』って、naomi & goroのようで、そうでもないようで、ジャズっぽいなと思ったら、いつものようにボサノバっぽかったり、不思議なアルバム。

でも、今までのnaomi & goroとは違うことは確かだ。

 

菊地成孔/音楽家・文筆家 

キテますねブリットポップのヴォサ・カヴァー。ゴローさんの伯と英、二股がけのせつない愛を感じます。

 

エドツワキ/イラストレーター、画家 

紅茶と焦げかけたトーストにジャムもいいけど、
今はテラスの隅でカフェオレにクロワッサン。
目の前にはエヴァという名の素敵な女の子。
片思いの僕はとめどなく喋った。
高いところにあった陽は落ち、
カフェの灯が彼女の瞳に映る。
その瞬間、
彼女も僕に恋をしたのがわかった。
My Eva changing moods....

 

菊池武夫/TAKEO KIKUCHI クリエイティブディレクター 
80年代の空気を、軽ろやかに、それでいて何かを予感させる。可愛い女性のボサノバのけだるさに、ジャージーでもあり、強く何かを主張しない心地良さ、すっかり忘れていた柔らかな日差しの中、海辺のテラスで夏の終わりのさみしさを感じながら、隣から聞こえるサウンドに心を奪われる。
カウンター越しのバーテンに三杯目のフローズンダイキリを注文する。
結局、音の中に自分を投影してしまう。夜は怪しげに深くなる。

 

片寄明人/GREAT3、 Chocolat & Akito

スタイル・カウンシル「カフェ・ブリュ」を発売日に買いに走った、あの春の日を忘れることはないだろう。
針を落としたその瞬間、15歳だった僕の心は一生消すことの出来ない洒脱な刻印を押されてしまったのだ。
この素晴らしいフルカヴァーアルバムは一瞬で僕の心をあの日に連れ戻してくれた。なんだか涙が出そうだ。

 

橋本徹/SUBURBIA 

僕は熱烈なスタイル・カウンシル主義者だから、何より伊藤ゴローさんが『CAFÉ BLEU』を愛していると知れたことが嬉しい。でなければ、これほど難産だろう企画をやりとげられないはず。安易なカヴァー集とは一線を画す、アイディア練られた丁寧なつくり。この誠実さが生んだ品質は、狂信的なウェラー・ファンにはわからない。「ホワイトハウスへ爆撃」はオリジナルより推す。

 

黒田学/"K. Dove" "RADIATE RECORDS" "Lovin' Circle"主宰・DJ・プロデューサー・オーガナイザー

naomi & goroがスタカンをカヴァー?、なさそうで完全アリな企画。ぼくがボッサやジャズに触れる(憧れる)きっかけを作ってくれたのがこのアルバムでした。ゴローさんのウェラーへのリスペクト感溢れるアレンジ、ナオミさんのうた声がスタカンの疑似感をホンモノにリメイクしたこの作品の聞き触りが妙音です。

 

秋田ゴールドマン/SOIL&"PIMP"SESSIONS

レコーディングは緊張感と リラックス感と ほどよく 混ざり合い 楽しく演奏できました。
ゴローさんの 優しくも鋭いギター ナオミさんの 淡く温かい声 naomi & goroのサウンド
また 一緒に音を出すことが 楽しみです。

 

みどりん/SOIL&"PIMP"SESSIONS

『CAFÉ BLEU』を初めて知ったのは大学時代。

その頃のアルバムのイメージは、カラフルなのにどこまでも続く蒼い色。
このアルバムにも同じ感覚を思った。

 

坪口昌恭(Masayasu Tzboguchi)/Tokyo Zawinul Bach」主宰・Jazz Pianist・Synthesist・ Composer 

繊細なハーモニー、色彩感バランス感などなど、ゴローさんには不思議なシンパシーを感じると思ったら、誕生日がとても近かった!
ナオミさん、仮歌の段階から素晴らしくクールで感動!。旬な作品に参加できて光栄です。

 

コトリンゴ/シンガーソングライター

あうたびにどんどんおしゃれにかっこ良くなるゴローさん。
The Style Councilというバンドを、じつは聴いておらず(すみません。。)
naomi & goroさんはやはりボサノヴァのイメージが強かったのですが、ジャズ色も強くて新鮮でした!原曲も聴いてみる、楽しみも増えました。
ナオミさんの声はいつも耳の奥を気持ち良くゆらしてくれて好きです。
「Strength Of Your Nature」特に好きです。これからの季節のうきうき感を増幅させてくれそうです。

 

前田エマ/ちょっと注目を集めている美大生

そうか!
ボサノヴァって、ボサノヴァじゃないんだ!

(ボサノヴァ?好き好き!って思って聴くと、痛い目に会いますヨ、だって…ねえ!好きなんだもの!
音楽の出会いと、音楽との出会いと…両方にワクワクしちゃう。)

 

弓削匠/Yuge デザイナー・アートディレクター

街角での恋人達の語らいがギターの音色となり
夜明け前の紺色の世界に佇む街の息遣いが優しい声となって表現されるCAFÉ BLEU
完璧なスタイルバランス
一瞬にしてサンジェルマン・デ・プレ界隈へ瞬間移動させてくれる
よって、naomi & goroのCAFÉ BLEUはスタイル評議会に於いて満場一致で可決である!

 

中原仁/J-WAVE「SAUDE! SAUDADE...」プロデューサー

CAFÉ BLEU』をリアルタイムで聴いた世代なので、自分の青春に想いを馳せながら聴き始めたのですが、気がつけばノスタルジーは消え去り、心を2013年の東京に連れ戻してくれました。
チャレンジ精神が全開でnaomi & goro の音楽の新たな局面が見えた、そんな確かな手応えを感じています。

 

松田 "CHABE" 岳二/Cubismo Grafico・kit gallery

CAFÉ BLEUをnaomi & goroが!そう聞いた瞬間にとてもドキドキしました。そして僕もDJで好んで使うCAFÉ BLEU名物ともいえる幕開けのあのピアノ小曲をどうやるんだろうか?と楽しみで仕方がありませんでした。聴いてみてください!そこにドキドキの答えがあります。

naomiさんの声とgoroさんの和音、そしてアレンジはやはり唯一無比ですね。スタカンしらない人も良質なPOPアルバムとしてあなたの生活にスっと入る事でしょう。
素敵なアイデアと作品をありがとうございます!

 

多屋澄礼/Violet And Claire オーナー・Twee Grrrls Club 
私の中で理想の男性像として常にランクインしつづけるPaul Wellerの最高傑作をnaomi & goroが眩しい位爽やかなアレンジとソフトな歌声で新しい色へと塗り替えていく。その色はステンドグラスの様な透明なブルー。サウンドは風をうけてきらきらと光輝く。


宮本りえ/モデル
色とりどりな新作アイテムに心が弾み、マニッシュもいいし、フェミニンな気分もあるので選べない。思い切って「全てください!」とワガママを言ってしまった時、「いいですよ」と快く答えてくれた紳士があらわれたような感覚になりました。季節、シチュエーションによっても色々な表情をしてくれそうなので、一年を通して楽しみたいと思います。


田窪寿康/ヴァルカナイズ・ロンドン 代表 
CAFÉ BLEUがこんなに心地よい音に生まれ変わるとは新しい発見だ。
84年にこのアルバムが発売された当時、初めて聞いた時のあの衝撃は今でも忘れない。僕自身若く尖っていたあの頃、もっと尖った音に聞こえた。
30年経って、CAFÉ BLEUがボサノヴァの音にのせられ、またやってきた。
naomi & goroの心地よい音色が今の僕にはぴったりと合っている。
それだけ歳を取ったってことだな(笑)


大島忠智/IDÉE CO., LTD. IDÉE Records

『CAFÉ BLEU SOLID BOND』のリリースおめでとうございます。ポール・ウェラーもブラジル音楽も大好きな自分にとって、なんとも嬉しい企画。
ボサノヴァのフィルターを通しつつ、ジャンルを超えたカヴァーセンスに流石の一言。自宅でコーヒーを飲みながら一服、そんな時間に聴きたいアルバムですね。

『CAFÉ BLEU SOLID BOND』でも透明感のある歌声を聴かせてくれる布施尚美さん。これまでThe Style Council『CAFÉ BLEU』は聴いたことがなかったという尚美さんに、レコーディングやアルバムのことを伺いました。

 

Q. The Style Council『CAFÉ BLEU』を聴いた感想は?
A. 最初から自分で歌うという前提で聴いたのですが、一枚のアルバムの中で歌う人の人数の多さに驚きました。女性、男性、レンジも広くてこれを一人でどうやって歌おうか?と。ゴローさんには「なおみちゃん、これ歌はなおみちゃん一人でよろしくね」と軽く言われました(笑)

 

Q. 『CAFÉ BLEU』のジャケットのようなファッションはどう思いますか?
A. ジャケットのお二人はモデルさんかと思いました。とてもかっこいいですね。薄い色のコートやジーンズ。コートは自分で選ぶと黒や紺になってしまうし、ジーンズは普段穿かないので、いつかチャレンジしてみたいです。

 

Q. 今回のアルバムで特に気に入っている曲と最も苦労した曲は?
A. お気に入りは「My Ever Changing Moods」のバンドバージョン。大変だったのは「A Gospel」です。 ラップに苦労しました。

 

Q. レコーディング中のエピソードがあればお聞かせください
A. 拍頭を歌詞の上に書いていくという自分なりのラップの譜面を開拓し、その譜面を常に持ち歩いて、スマホで音源を聴きながら、あらゆる場所でラップの練習をしました。

 

Q. いわゆる一般的な「ボサノヴァ」のイメージとは異なる曲も多いですね
A. 確かにボサノヴァのイメージとは違うけど、普段ボサノヴァを演奏していなければこうはならないとも思います。

 

Q. 今回のアルバムのどんなところ/何を聴いてほしいですか?
A. いつもに増してインストがかっこいいので聴いてください!今までにない作風で驚かれたかもしれませんが、楽しんで頂けたら嬉しいです。

対談:堀内隆志 × 中村智昭 at Bar Music

 

音楽・カルチャー・アートを発信する鎌倉の代表的カフェ「café vivement dimanche」のマスター堀内隆志さんと、 コーヒーとお酒、音楽を楽しめる「Bar Music」の店主であり、DJとして活躍する中村智昭さん。「コーヒー文化」を発信する共通項を持つおふたりに、ザ・スタイル・カウンシルの『CAFÉ BLEU』、そしてnaomi & goroの『CBSB』 の世界について語り合っていただきました。

 

      

 

H:堀内隆志

N:中村智昭

 

 

————おふたりが『CAFÉ BLEU』を聴いたタイミングはいつ頃でしたか?


H ぼくは1967年生まれで、17歳のときにリリースされたんですけど、初めて聴いたのは高3から大学に入るぐらいの頃で。ちょっと遅れて聴き始めた感じでしたね。『OUR FAVOURITE SHOP』が出たちょっと後くらいに、同じサークルの同級生の友だちが教えてくれて、「こんなにファッションと音楽が結びつく世界があったんだ!」というショックを受けました。『CAFÉ BLEU』のリリース当時、洋楽は聴いていたんですけれど、おしゃれな感じじゃなかったんですよ。どっちかっていうと、ハードロック系を聴いていたので(笑)。

 

N ぼくは1977年生まれなので、そのとき7歳。ちょうど堀内さんの10歳下なんですよね。もちろん、当時スタイル・カウンシルのことは知る由もなく、興味があったのは野球とサッカーでした。そうしてその後、ポール・ウェラーにようやく出会ったのは高校生のときでした。中学生時代はビートルズばかり聴いていて、高校に入るのと同時くらいにオアシスがデビューして衝撃を受けて。で、オアシスの兄貴分みたいなポジションにポール・ウェラーがいたんです。いわゆるブリット・ポップムーブメントがほぼ終わろうとしていたころのブラーVSオアシスみたいな図式に対して、先輩としてポール・ウェラーが「まあまあ、それぐらいにしとけよ」と、後見人のように。以来、音楽に加えて彼のファッションや存在そのものに憧れて、当時「Changing Man」のヴィデオクリップは穴があくほど繰り返しみました。ポール・ウェラーが着ているものは全部欲しかったですね。
 

 

————90年代だと、Vネックのちょっとピタッとしたグレーのニットとかでしたよね。

 

N ですね。あのニット、メチャ探しました(笑)。あと当然、スーツでビシッととキメてるスタイルも参考にしてました。とにかく、ポール・ウェラーにいろいろ影響を受けたのも手伝って、音楽とファッションの両方に夢中でした。そうした中、地元の広島でクラブに通いはじめたころに、ちょうど10歳くらい年上の先輩DJが「My Ever Changing Moods」を12インチのバージョンでかけていたんです。そのときに「これ、誰ですか?」って、今思うととても恥ずかしい質問をしたり。それでポール・ウェラーは昔、スタイル・カウンシルっていうバンドをやっていたんだっていうのを後から知るっていう。で、シングルのグルーヴィーなバージョンしか聴いていないもんだから『CAFÉ BLEU』を手にしたときに、「あれ?アルバムではピアノの静かなやつなんだ」みたいな(笑)。


H やっぱり、10歳違うと結構違いますね。


N そうですね……。ぼくは音楽的に、間に合わなかった感がすごい強かったんです。『CAFÉ BLEU』はおろか、東京には1996年に出てきたんですが、ポール・ウェラー人脈からも繋がるレア・グルーヴ~アシッド・ジャズのシーンも一時の勢いを失っていた状況で。90年代前半の残り香さえを、90年代後半に探しまわっていた記憶がありますね。


H ぼくはもうその頃は、お店をやっていましたね。最初の頃は暇だったので、スタイル・カウンシルもよく聴いていました。『CAFÉ BLEU』も『OUR FAVOURITE SHOP』も。そしたら、同世代のお客さんたちが「これ、懐かしいね」みたいになって、お客さんとの共通言語になっていました。最初の頃は地元の人や観光客の方とかがぼちぼち来てくれる感じでほんとにお客さんがいなかったんですよ。毎日来ていたのは、岡本仁さん(Landscape Products)くらい(笑)。暇だったので、いろんな音楽をA面・B面かけているなかで、『CAFÉ BLEU』のインデックス面っていうのかな!? 裏面にカプチーノがあるじゃないですか。すごくそれがいいなって思って。あれに似せて、お客さんにカプチーノを出していたりして(笑)。とても影響を受けましたね。当時よく聴いてはいたけど、スタイル・カウンシルがボサノヴァをやっているっていう意識をしていなかったんです。でもいま思えば、お店でBGMとしてかけているうちに「あ、これ好きかも」って思って、すごく自然な形で急激にブラジル音楽に向かっていくきっかけになっていたのかもしれないって思いますね。

 

N ぼくには堀内さんみたいに素敵なエピソードはないかもですね~(笑)。例えば自分のお店で『CAFÉ BLEU』をかけることを考えると、プレイできるのはA面。片面かけっぱなしにできるレコードは貴重ですよね。以前ぼくが企画した『ムジカノッサ 9×46 ディスク・ガイド』という書籍で堀内さんが書いてくださった原稿のなかに、「コーヒーを淹れながらレコードをひっくり返すのは至難の業」という大好きな一文があるんですけれど、その通りなんですよ。たぶん、ぼくたちみたいなレコードをかけるお店をやっている方も、同じようなことを思っているのではないでしょうか。そういう意味でも、途中で止めたくならない、片面約20分のBGMを安心して任せておける盤はレコードをかけるお店が必要とする、ひとつの条件ではありますね。今回のnaomi & goroさんのカバーアルバム『CAFÉ BLEU SOLID BOND』を聴いた印象としては、B面サイドの曲も良い意味でA面化されたなと思いました。また違った『CAFÉ BLEU』の世界観が送り出されたなと。

 

 

————そうですね。ゴローさんと山下くんの対談で山下くんが「原曲のB面はボサノヴァ・ミーツ・P-FUNK」って言っていて。「黒人SIDEなんですよ、あれは」と発言していたんですよね。まったくそのとおりだなって思いましたね。

 

H 確かにそうですよね。『CAFÉ BLEU』は今回、このような対談のお話をいただいて10年ぶりに聴き返しました。その後『CAFÉ BLEU SOLID BOND』を聴いてみたら、そういえば、こんな曲あったけどすごいアレンジになって面白いなぁって思って、楽しかったです。音楽って久しぶりに聴くと、古い友だちに再会したみたいなところがあって。「これまたすごく会わないうちに、こんなに変わっちゃったの? でも、すごくいい感じだね」みたいな。そんな感覚を持ちましたね。

 

N ぼく的にはかつての90年代の、憧れていた時代のにおいのようなものを感じました。こうしたフィーリングをひたすらレコード屋さんで探してたなぁって、懐かしい気持ちになりました。

 


————「BAR MUSIC」で昔を懐しがって『CAFÉ BLEU』置いてないの?とか聞かれたりすることはありますか?

N  お店ではリクエストを基本的には受け付けていないんですけど、たまに言われるのはよりディスコ的なもの、もしくは60~70年代の作品が多いですね。もしかすると『CAFÉ BLEU』とかスタイル・カウンシルが好きな方というのは、そうした形で音楽に接するメンタリティではないのかもしれませんね。ここの店主はポール・ウェラーのファンで『CAFÉ BLEU』が好きなのは当然だろうし、多分ここにもあるんだろうなって見方だとは思うのですが。でも、お客様に「My Ever Changing Moodsのアルバムバージョンをかけてください」と言われたら、すごく素直にその声に応えるかも……。ヒットしたシングルがグルーヴィーなのを知っていて、あえてアルバムのしっとりしたのを今「Bar Music」で聴きたいんだ、ってその人のパーソナルな面に共感できますし。『CAFÉ BLEU SOLID BOND』も、そういう会話と選曲のなかに自然と入りこんでくることが想像されますね。

 

H たぶん、このカバーアルバムを10 年前に聴いたら、いまの印象とだいぶ違う気持ちになったと思うし、どこか敬遠する気持ちもあったかもしれないなと思うんです。自分の青春に対して思いが強すぎるから。でも、約30年くらいの時を経て、自分が40 半ばに差し掛かったタイミングで改めて聴き直してみると、いまはすごい自然に受け止められるし、青春時代におしゃれなものに憧れていた気持ちをいま、再び聴き直しても持っていることに気付かされて、とても甘酸っぱい気持ちになります。

 

 

 

【プロフィール】

■堀内隆志
1967年生まれ。鎌倉の「cafe vivement dimanche」のマスター。カフェ業のかたわらブラジル音楽のCDのプロデュースや選曲、ラジオ番組のパーソナリティ、執筆などジャンルを越えて活動。最新CDは畠山美由紀と小池龍平を迎えた『コーヒー&ミュージック ~ドリップ・フォー・スマイル』(Rambling Records)、著書に『珈琲と雑貨と音楽と』(NHK出版)がある。

http://cvdois.exblog.jp

 
 

■中村智昭

1977年生まれ。DJ/選曲家/音楽ライターとして「ムジカノッサ」を主宰、渋谷「バー・ミュージック」店主。広島市中区土橋で60年続く自家焙煎喫茶「中村屋」の長男として生まれる。様々なイヴェントのDJ/オーガナイザー/コーディネイターとして活躍。最近の執筆はコルトレーンのトリビュート『Dear J.C.』やベニー・シングスのベスト盤のライナーノーツなど。
http://www.musicaanossa.com/html/profile.htm

Text by 青野賢一 <BEAMS> クリエイティブディレクター

 

 80年代中盤、都内私立男子高校生のあいだでは、制服の上にオフホワイトのステンカラーコートを着るのがトレンドだった。言うまでもなく『CAFE BLEU』の影響である。自分の友人たちも、古着屋を何軒もハシゴして、状態、サイズ感がよくて、高校生でも買える値段の英国ブランドのステンカラーコートを探す者が多かった。ポール・ウェラーが着ていたのは<Aquascutum>のものであったが、ブランドがどう、というよりは、その着こなし(と、勿論音楽)に参ってしまった若者が後を絶たなかったのである。ベーシックアイテムばかりでコーディネートしているのに、なぜこうも格好いいのか?その理由のひとつには、まずサイズバランスが挙げられよう。元々、細身である彼をさらにスマートに見せるサイズ感のものを選び、袖丈もぴったりと合わせている。また、シャツ、ストール、ソックスが覗く分量が実に絶妙なのだ。先に述べたようにそれぞれのアイテム自体はベーシックなものだから、今の時代でも十分参考になる着こなしだが、今年らしさを加えるなら、シャツやストールで色を加えてみるのもいいだろう。そうそう、手にはニュースペーパーを忘れずに。

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